世代交代の時は

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経緯

Twitterでお題を募集してSSを書いてみました!集まったお題は「フレンズの世代交代」と「なまず」

なまず!?と思ったけどとにかく書き上げました!一体どんな話になったのか!それでは、ご覧ください!

「世代交代の時は」

私はナマズ。正確にはナマズのフレンズだ。

伝承によると災いを予知する力があるらしい。

ただの迷信だろうけど。

周りのフレンズはみんな私を気味悪がって近づいてこない。

だが好都合だ。私は一人が好きなんでね。

今日も私は水辺でじっとしている。一人で考え事をするのは好きだ。

だが今日はいつもと何かが違う気がする。どうもそわそわして落ち着かないのだ。

いつもはただ垂れ下がっているだけのナマズのひげをかたどったもみあげは、何かに反応するかのように跳ね上がっている。

まさか…ね。

どうにも落ち着かないのでたまには誰かに会ってみようと久々に森を抜ける。

その先の広場には、セルリアンハンターのリカオンがいた。

「ナマズじゃないか。珍しいな。いつもは人目を嫌がって一人でいるのに」

と不審そうに尋ねてきたので、

「落ち着かないから来ただけだ。お前こそ、ハンターの仕事はどうした?」

と言い返した。

「今日はヒグマとイッカクに任せてみることにした。何かあったらすぐに向かうから大丈夫さ。」

と彼女は言った。

「あんな半人前に任せておいて平気なのか?」

と私が口走りそうになった瞬間、

「リカオンさーん!」

という大きな叫び声と共に、こちらに1つの人影が見える。

リカオンの弟子の一人、ヒグマだ。

「ヒグマ!イッカクはどうした!何かあったのか!」

リカオンがすかさず問いただす。

私は今朝から続く落ち着かない感じもあり、とても嫌な予感がした。

「巨大なセルリアンの大群がこちらへ向かってきていて、私達だけじゃどうにもできないんです!」

とヒグマは答えた。

災いを予知するという伝承が本当であったことを、私は最悪の形で知ることになった。

ヒグマとリカオンについていき見えた光景は、まさに絶望的なものであった。

火山から、際限なくセルリアンが沸いている。あるものは四本足で歩き、あるものは空を飛び、そしてあるものは海を泳ぐ。

島中からは逃げ惑う声や悲鳴が聞こえ、捕食されている光景をも目の当たりにすることになった。

「これか、私が朝から感じていた嫌な予感の正体は。」

と私が口走ると、ヒグマは、

「なにが『これか』だ!この世の終わりのような光景がお前には見えないのか!なぜ危険を察知できることを知りながらこうなることを誰にも言わなかったんだ!」

と言う。

「お前がもっと早くこれを知らせていれば…イッカクは…イッカクは…」

彼女は泣きだしてしまった。

リカオンは戦える仲間と共にセルリアンを足止めし、一人でも多くのフレンズを逃がそうとしているが、

このセルリアンの大群の前では無力に等しかった。

一人、また一人とセルリアンに捕食されていく。

私はそれを見ながら、どうして私にはこんな力があるんだろうと思う。

災いを予知する力がありながらも、誰も救うことはできない。

気付いたときには何もかも手遅れで、ただ見ていることしかできない。

なぜ絶望することしかできないこんな力を私は持っているのか、と。

こんなことならせめて、災いが起きることをみんなに知らせておけばよかった。

世代交代の時は、ある日いきなりやってくる。

誰もが失意のまま、一つの終わりを迎えるのだ。

せめて人生最後の日だけは、悔いのないように過ごさせてやりたかった。

そう思ったとき、はっと目が覚めた。

ここはいつもの水辺。先ほどの大惨事が嘘であったかのように、周囲は静まり返っている。

どうやら一人で考え事をしている最中に、うたた寝をしてしまっていたらしい。

私はこれが夢であったとほっとした。

しかし、何か違和感がある。強く、とても嫌な感じの、違和感。

おそるおそるもみあげに手を近づける。いつもの位置にもみあげがない。

それは、何かに反応するかのように跳ね上がっていた。

私は今見た夢が何だったかを確信した。そして、悔いのない行動をとろうと思った。

みんなに伝えるのだ。世代交代の時を。