謎の雛誕生秘話

提供: ますとどんちほー図書館
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どこかの森の木の上に、1つの鳥の巣があった。 そこでは卵を、親鳥が一生懸命温めていた。

やがて卵は孵り、4羽の雛鳥が生まれた。 親鳥は餌を与え、雛を大切に育てた。

ある日のこと、いつものように餌を取りに行った親鳥が、いつまでたっても帰ってこない。

4羽が心配そうに鳴いていると、親鳥が今にも落ちそうなぎこちない飛び方で帰ってきた。

雛たちが何があったのかと言わんばかりに泣き叫ぶ中、1匹の雛鳥は、親鳥の羽根に銃弾が埋まっていることに気づいた。

この森にも、ついに人間の魔の手が襲いかかったのだ。親鳥は力尽きた。 雛たちには、もう食べ物を取ってきてくれる親鳥はいない。

空腹に耐えかねた雛鳥たちは、親の亡骸をついばみ、命を繋いだ。しかし、雛鳥は1羽、1羽と弱っていき、死んでいった。

最後の雛鳥は、銃弾を見つけた賢い雛だった。 ある日、森に火がつけられた。開拓者による焼畑農業のためだ。

この時雛は、「ハハ、面白いほどに燃えてやがる。これじゃ鳥もみんな焼き鳥だな!」「人間様に敵う相手なんざ、いねえのさ!」という声を聞いた。

雛は、その瞬間今まで決して感じたことのない感情に襲われた。周りで燃えている火以上に、胸の奥が、体全体が燃えるように熱い。それは怒りであった。

「ギエ゛ャ゛ーー!!」雛は三日三晩叫び続けた。血が、涙が、全身からこみあげて来る。そして泣き止んだ時、その声はすっかり枯れ果て、変わり果てていた。

「ビヨ、ビヨ…」もはや叫ぶ力も残されておらず、焼け跡の中でただ力尽きるのみであるかと思われた雛であったが、「生き残った雛鳥がいるぞ、面白い。持ち帰って実験に使おう。」

死にかけの雛鳥は現地の科学者に拾われてしまった。 雛は研究所の檻の中で、ただ生かされていた。 「それでは新薬の実験を開始する。」と聞こえた後、雛は何かを注入される鋭い痛みを感じた。

その日から、雛は日に日に違和感を感じた。今まで騒音にしか思わなかった、外からの音に意味を見出したのだ。

「この雛、人間と同じくらいの知能になったそうですよ。その代わり、一生雛のまま成長できなくなったそうです。」

まるで眼鏡をかけたかのように、雛の知能ははっきり、自らの置かれた状況を理解していた。 雛は必死に施設を抜け出し、訳も分からぬまま逃げ続けた。

そして、もう誰も追ってこないと分かると、「人間は…敵!!!!ビエエエエエエエアアアアアアアア!!!!!!!!」と憎き人間の言語を借り、叫んだ。

かくしてかつて雛鳥であったその生物は、人間に復讐を誓い、インターネットの闇に消えていった。

関連項目

怒りに震える謎の雛