Tale:JAPARIコンソーシアム-守里-01
三ヶ月に及ぶβ1762-2-6-5の調査によって、アマー帝国の陰謀の裏付けは確実なものとなった。理事会の指示によって、有効な証言をすると思われるアニマルガール5人を確保している。この5人の名前はそれぞれ、アフリカオオコノハズク、ワシミミズク、ツチノコ、ヘビクイワシ、ギンギツネと言うらしい。そいつらがどんな奴だろうが俺にはどうだっていい。重要なのはこの5人がよい子でいてくれるかだったが、幸い杞憂に済み、帝国側は我々には気付いていないようだ。
迎えのシャトル到着まであと3分と言ったところで気配がした。全周囲警戒をしていた隊員全員がその気配に目を向けた。
ありえない。
その気配は円陣の中央、ちょうどシャトルの着陸予定地点にいた。クソッ、最後の最後でしくじったか。そう思い銃を向けたが相手の方が速かった、いや、気配を感じた時には既に銃を向けられていた。
「落ち着いてください。我々はアマー帝国の者ではありません。あなた方に危害を加えるつもりはありません。」
相手の一人がこちらに話しかける。それに俺が答える。
「目的は何だ。」
「あなた方に警告しに来たのです。」
俺は固唾を呑んで次の言葉を待った。
「我々は再三あなた方の上層部に警告してきました。しかし無視されてしまいましたので、次はあなたに警告をします。」
「あなた方がー『星の願い』ー そう呼称している存在、ひいてはアニマルガール。それの及ぼす影響はあなた方の手にはあまります。」
「どういう意味だ。」
率直な質問が口をついて出た。
Ωコンソーシアムはイヴ・ユニバースで最強の勢力であるとの自負があった。その俺達の手にあまる。そんな言葉に怒りさえ覚えていた。待てよ、何か忘れてはいないだろうか?
「これ以上は不干渉原則よりお答えできません。」
今の言葉で全ての点が繋がった。こいつらはジョービアンだ。どうやら俺達は神と思しき存在でさえ看過できないことに手を突っ込んでしまっていたらしい。
「そこで我々からひとつ指示をしたいのです。」
「その5人のアニマルガールを直ちに殺害してください。」
「なに?!」
「そして上には、アマー帝国に発見され、交戦したが、アニマルガールが流れ弾により殺害された。そう報告してください。物的証拠と具体的報告内容は我々が用意し、追って指示を出します。」
「ふざけるな!!!」
「待て!!」
銃声が響いた。しかしその銃声は我々の銃のではなかった。
次の瞬間には悲鳴が聞こえた。
部下の4人が隙を見て撃とうと画策していたらしいがジョービアンには見抜かれていた。
「殺害はしていません。適切な処置をすれば後遺症もなく復帰できるでしょう。これでアマー帝国と交戦した証拠になります。」
ジョービアンが言う。
撃たれなかった部下に手当の指示を出して、それからジョービアンに答えた。
「俺達には理事会が絶対だ。お引き取り願う。」
「わかりました。」
それだけ言うと、ジョービアンは閃光の中に消えた。
不干渉原則と言うのは嘘ではないらしい、あくまで選択肢は俺達にあった。
図ったかのようにシャトルが現れた。シャトルでアニマルガールを連中に引き渡しながら、これは理事会に直接報告すべきだな、と思い部下に戦闘ログを機密指定し、この件は口外しないようにとの指示を出した。